2028〜2030年、われわれ技術科教員はどう生き残るか?「情報・技術科」移行を元技術科教員が徹底予想!

中学技術

こんにちは!沖廣(おきひろ)と申します!いつもブログやYoutubeを御覧いただきありがとうございます。

私は中学校で技術科教員として4年間教壇に立ち、今は会社員として企業向けにAI・DX研修の講師をしています。教える相手は中学生から社会人に変わりましたが、「新しい情報の扱い方を、どう伝えて、どう身につけてもらうか」という悩みは、ずっとあまり変わっていません。

そんな二重の視点から、いま議論が進んでいる「情報・技術科」への改編を見てみると、けっこう色々なことが見えてきます。

この改編、単なる教科名の変更ではなく、「誰が」「何を」「どう教えるのか」という現場の体制そのものを組み替える話だと思っています。

なので今回は、

  • わかっている事実(一次情報ベース)
  • 私自身の予測(技術科教員+企業研修講師の経験から)

を切り分けて書いていきます。「これは事実」「ここからは私の持論」というのを意識しながら読んでもらえると嬉しいです!!(本当に持論です・・・)

1. まず事実整理:何がどう変わろうとしているのか

現行の技術・家庭科は4領域

今の中学校技術・家庭科(技術分野)は、次の4つの領域でできています。

  • 材料と加工の技術
  • 生物育成の技術
  • エネルギー変換の技術
  • 情報の技術

木工や電子回路、栽培、そして情報の技術と、けっこう幅広いですよね。

私が過去中学生向けに70本授業動画を撮ったものがあるのでご興味があればぜひご覧ください。

「情報・技術科」+「家庭科」に分かれる方向で議論中

次期学習指導要領に向けて、この技術・家庭科を「情報・技術科」と「家庭科」の2教科に分ける方向で議論が進んでいます。

※ちなみに「情報・技術科」という名称、文部科学省の公式な議事録(第5回第6回)では一貫して「情報・技術科(仮称)」と表記されています。報道では「仮称」が省略されがちですが、正式名称はまだ確定していない段階です。

中央教育審議会(中教審)の情報・技術ワーキンググループ(主査:堀田龍也氏・東京学芸大学副学長)が2025年9月から約10カ月・12回にわたって議論を重ね、2026年7月30日に「取りまとめ案」を提示しました(教育新聞日経BPが詳しいです)。内容に大きな異論はなく、細部の調整は主査に一任されたとのこと。今後は他の特別部会と調整しつつ、2026年度中に中教審の正式な答申が見込まれています。

コマ数は週1〜2コマに増加&2028年度から先行実施の可能性

授業時数についても方向性が出ていて、中学校の「情報・技術科(仮称)」は年間35〜70コマ程度(週1〜2コマ相当)が必要とされています。共同通信の報道によると、小学校「情報の領域」(年間最大30〜35コマ)、高校「情報科」の充実とあわせて、小中高を貫く一本の情報教育ラインとして設計しようとしているようです。しかも、全面実施を待たず2028年度からの段階的な先行実施も検討されています。(決まってもいませんが、スタートするようです・・・)

実は技術科教員の23%が正式な免許を持たないという現実

もう一つ、押さえておきたい数字があります。文部科学省は2024年2月、公立中学校で技術を教える教員9,719人のうち2,245人(23.1%)が技術の普通免許・特別免許を持っていないという調査結果を公表しました(通知原文教育新聞の解説記事)。

内訳を見ると、この2,245人は一括りに「免許外」というわけではなく、

  • 普通免許・特別免許あり:7,474人(76.9%)
  • 免許外教科担任:1,709人(17.6%)
  • 臨時免許(臨免):536人(5.5%)

という構成です。「免許外教科担任」と「臨時免許」は制度上別物ですが、どちらも正式な普通免許・特別免許を持たないまま授業を受け持っているという点では共通しています。文科省はこの状態を2028年度までに解消する(2,245人→0人にする)という目標を掲げています。

「2028年度」で達成したいことは2つ!

ここでちょっと注意してほしいのが、「2028年度」というキーワードが2つの別の文脈で出てくるという点です。

  1. 「免許外教員をゼロにする」という教員配置の目標(2024年2月の通知)
  2. 「情報・技術科を段階的に先行実施する」という教育課程改訂のスケジュール(2026年7月時点の検討)

この2つ、別物なんですが同じ年度が出てくるのでかなり混同しやすいです。裏を返せば、教科の中身を大きく変えようとしているまさにその年に、教える側の体制はまだ「免許外ゼロ」という最低ラインの整備すら道半ば、という状況になりかねない、ということでもあります。

2. ここから沖廣の完全予測パート:教科の中身はどう変わる?

ここからは完全に私の予測です。

4領域→「基礎理解」と「情報活用能力」の2軸に整理されるかも

現行の4領域は、次期教科では「情報の基礎的理解」と「情報活用能力」の大きく2つに整理し直されます。(すでに確定したかもしれませんが、濃厚らしいです)

後者は単なる操作スキルではなく、身の回りのデータを集めて、活用して、意思決定につなげる、いわゆるデータ活用・データサイエンス的な力のイメージです。

中学校は小学校と高校をつなぐ「橋渡し」役

中学校の立ち位置は、小学校と高校をつなぐ橋渡しになっていくと見ています。

  • 小学校:情報の扱い方やAIの考え方の素地づくり
  • 中学校:身の回りのデータを「集める→溜める→活用する」練習
  • 高校:探究の時間で課題発見→試行錯誤→解決というPDCA型の学び

これまで学校行事の消化に使われがちだった「総合的な学習の時間」も、こうした長期的な情報活用・探究の時間として設計し直される可能性がありそうです。

プログラミングの理論より「ツールで体験する」比重が増える!かも?

高校「情報Ⅰ」のようなプログラミング理論がそのまま中学に降りてくるというより、データを使う「体験」「訓練」の比重が大きくなっていくと予想しています。プレゼンソフト(PowerPoint)や表計算ソフト(Excel)、文書作成ソフト(Word)を使いこなして、データを含めてアウトプットする経験——いわゆるメディア表現やコミュニケーションの側面が前に出てくるイメージです。

これは企業のDX推進やAI研修の現場で見ている動きとまったく同じです。研修でもまず求められるのは言語習得そのものより、「課題をデータで捉えて、企画に落として、小さく試して改善する(PoC)」というサイクルを自分の言葉で回せるようになること。学校教育と社会人教育が、同じゴールに向かっている感覚があります。

3. 本題:教員体制はどう変わる?技術科教員外も巻き込まれる。

ここが一番の関心事であり、現場への影響も大きい部分だと思っています。

コマ数増加=教員不足がさらに深刻化する

コマ数が週1〜2コマに増えるということは、教える内容も、必要な教員数も増えるということです。すでに23%が免許外担当という状況で、コマ数まで増えれば教員不足はさらに深刻になります。

まずは「免許外教員の正規化」から始まるはず

このため、まず起きるのは免許外教員の正規化——現職で技術を教えている人たちに免許を取らせる動きの加速だと予想しています。それでも足りなければ、次に技術免許の取得基準そのものが緩和されたり情報分野に特化した新しい周辺免許制度ができたりする可能性もありそうです。

実は理系教員のほうが向いているのでは?という持論

ここからは完全に持論ですが、実際に新しい「情報・技術科」の内容に対応できる人材は、今の技術科教員の中でも半分以下ではないかと感じています。むしろデータ活用やデータサイエンス的な内容への適性という意味では、数学・理科の教員のほうが合っているのではないでしょうか。理系教員の母数の大きさを考えても、国の政策としては理系教員を情報分野に接続していくほうが現実的だと思っています。

「実習は技術科、データ活用は理系教科」という役割分担もありそう?

そうであれば、現場の役割分担は「実習は引き続き技術科教員が担当し、データ活用・データサイエンス的な指導は理系教科の教員が担う」という形にハンドルを切っていくのが、現実的な落としどころになるのではないかと考えています。(そもそも製作の実習は設計上要らないんですけど、そうもいっていられないですよね…)1校に技術科教員が1人という体制ではそもそも足りず、最低でも複数人体制が前提になっていくはずです。

言い換えると、「情報・技術科」という一つの教科名の中に、出自の異なる二つの専門性——ものづくりの実習を支えてきた技術科教員と、データやモデルの扱いに慣れた理系教科教員——が同居していくイメージです。「技術科免許を持つ人が一人で全部教える」という前提が崩れ、教科としての一体感をどう保つかが、隠れた課題になっていくと見ています。

私は、直近では、小規模校では実技系教科の先生が駆り出され、大規模校では数学・理科の先生が対応することになると予想します。

4. 水面下で、現場で起きそうな摩擦

とはいえ、この変化がスムーズに進むとは思っていません。

長年、木材加工や電子基板の製作といった実習を中心に授業を組み立ててきたベテランの技術科教員にとって、コマ数が倍近くに増え、しかも指導内容の重心が「製作」から「データ活用」に移ることは、かなり大きな負担になります。新しい内容へのキャッチアップが間に合わなければ、現場からの反発も十分考えられます。(体育の先生がゴリゴリの数学を教えるイメージ)

その結果として起きそうなのが、水面下では従来通りの製作実習が温存されて、データ活用の要素は「形だけ」学習指導要領を満たす程度にとどまる、という表面的な対応です。情報を情報として、技術を技術として、別物のまま教え続けてしまう状態は、制度が変わった直後によく起きる現象だと感じています。

これは現場の怠慢というより、コマ数増加とカリキュラム転換が同時に、しかも短期間で起きることの当然の帰結だと思います。研修の時間も教材を作り直す時間も限られたまま、目の前の生徒には従来通りの水準で授業をしなければいけない。そんな制約の中で「できる範囲で形を整える」という選択をする先生が出てくるのは、むしろ自然な現場対応とも言えます。

だからこそ、教科の色を本当に「情報ありき」に変えていくには、指導内容の設計だけでなく、免許制度や「その授業を実際に担当できる状態」をどうつくるかという人材面の政策が、今後さらに重要になっていくはずです。看板を掛け替えるだけでなく、それを支える人をどう育て、どう配置するかまで含めて設計されて初めて、この改編は現場に根づくのだと思います。

5. まとめ:制度は決まってきたので、あとは「人」の話ですね・・・

「情報・技術科」への改編は、単なる教科名の変更ではなく、誰が・何を・どう教えるかという教員体制全体を揺さぶる話です。制度としての方向性は事実として確認できますが、現場がどう対応していくかは、まだ予測の域を出ません。

元技術科教員としても、企業でAI・DXの研修に携わる立場としても、この変化はしっかり注視していきたいと思っています。特に、免許制度や教員配置に関する政策がどこまで具体化されるかは、今後の答申や施策パッケージの内容次第で大きく変わってくる部分です。ニュースを追うだけでなく、現場の先生方の声も拾いながら、続報としてまた整理していきたいと思います。


参考リンク

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ご回答をありがとうございました。 ✨

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